2009年11月15日日曜日

西本智実のベルリオーズ「幻想交響曲」

西本智実はチャイコフスキーを中心としたロシア音楽が得意と思われがちですが、フランス音楽にも積極的に取り組んでいます。
西本には華やかな劇的音楽が似合うと思い、ベルリオーズの「幻想交響曲」のDVDを購入し、視聴しました。

オーケストラのチェコナショナル交響楽団とは初顔合わせで、コミュニケーションをとるために、西本はリハーサルから即席のチェコ語で臨んだそうです。

演奏そのものは堂々とした立派なものでチェコナショナル交響楽団の力量を伺い知れますが、西本智実の音楽の特徴が見えてきません。

映像を観る限り、演奏は淡々と進められていますが、指揮者の動きとオーケストラの演奏がかみ合っていないように見えます。

演奏者も指揮者をあまり見ていないような気がします。
(表情もつまらなそうだし。。。)

西本智実は緩急自在の情緒豊かでありながら劇的な力強い音楽に特徴がありますが、この演奏は安定したテンポで終始し、唯一最終楽章のコーダの部分で盛り上がったかな?程度でした。


西本智実本人もベルリオーズの「幻想交響曲」は斬新な曲で以前からやりたいという思入れがあったそうですが、収録されているインタビューでは

チェコの演奏形式を動かし、ギリギリの音楽を目指したいが、やはり凄く国境があり、超えられない部分がある。

と語っており、この演奏は不本意であったと思います。

でも、このDVDは彼女の目指す音楽の一部を垣間見ることができ、今後への期待感が膨らむ貴重なものと言えます。